いつもは練習で1ラウンド3分を3ラウンドのスパーリング。
ラウンドとラウンドの間のインターバルは30秒
でもテストは1ラウンド2分30秒と短く、ラウンド数も2ラウンドだけ。
更にインターバルが1分もある。
スタミナは余裕だ。最初っから飛ばしていく。気持ちが大事。気持ちだけは誰にも負けない。
リングに上がり再度大きく深呼吸。
すぅーーーーーー、
はぁーーーーーーー、
レフェリー「ファイッ!!!!」
よっしゃぁ!!!
ついにこの時が来た。
相手とグローブタッチをして少し距離を取る。
テストはあっという間。様子なんて見ない。
まずは先手でこちらからジャブを出す。しかし届かない。近づいてわかるが相手はやっぱり背が高い。かなり前に行かないと顔にパンチを当てれなさそうだ。
2発目は更にもう一歩踏み込んで前へ。
ガンッ!!
何かが顔の横からぶつかってきた。
左フックだ。完全に見えてなかった。
普通フックは距離が近いときに打つパンチ。
自分がまっすぐ手を伸ばしたパンチが当たらないのに、相手のフックが当たるということは相当リーチの差がある。
これはパンチの当たらない距離を保ってたら一向に攻撃できないぞ。
距離をつぶせ!
練習で教えてもらった通り頭を振って的をずらす。
そしてガードを固めながらどんどん前に進んでいく。
とにかく前へ。もちろん被弾はする。ガードの上からとはいえ衝撃はある。よろけてバランスも失う。
それにしても力のあるパンチだ。受ける度にこちらの動きを止められて反撃が難しい。
パンチに耐えるだけでもスタミナが削られる。
大ぶりだが思い切りのいいパンチ。
ただ大振りがゆえにガードの真ん中が大きく開いてる。
そのおかげで中に入りさえすればジャブが当たる。よしジャブが当たるぞ。あまり顔も振ってないし的を絞りやすい。
更にパンチのタイミングがわかりやすくて避けるのが簡単だ。
どうやら技術はそんなにない、背が高くて当てるまでの距離が遠いだけだ。
どんどん前へ、距離をつぶせ!!
相手が後退する。
よし、悪くない。このままの調子でいこう。
前へ、前へ!!!
しかし体力が予想外以上に減る。
グローブが重いのだ。
ラウンドの後半、グローブの重さが少しずつ影響し始める。一度距離を取って腕を下ろす。肩をほんの少しリラックスさせ再度前へ。
息が上がってきた。少し飛ばしすぎたか?
でもいつもよりラウンドの時間は短い。何とかなるはず。やれるとこまでやるぞ。
レフェリー「ストーップ!!!」
1ラウンド目の2分30秒が過ぎた。必死過ぎて1ラウンド目が一瞬で終わった。
息を切らしながらコーナーへ戻る。
ここで初めてアドバイスをもらえる。
会長「このままやったら試験落ちるぞ!!!」
え、なんで?。
予想外過ぎた。今のラウンドの一体何がだめだったのか。教えてもらったことをそのまま実践できた。自分としては申し分ない。
前日に忠告があったフックやボディーは全く打ってない。手数もあったし前に進み続け気持ちも見せたはず。
しっかりガードも上がって顔も振っていた。
会長「次のラウンドはもっと行け!!積極性が足らん」
なぜだ!!これ以上どうすればいいんだ。
たった一分のインターバルでは詳しく伝えれるわけもなく、会長の指示どおり次のラウンドはもっと攻めることにした。
でも言うは易し、もともとこのスパーリングでスタミナを使い切るように初めから飛ばしてた。なのにそれを超えてもっと行けとなるとさすがに体力が持たない。もっとがむしゃらに行けばいいのか??
よし、次はゴングが鳴ったらしょっぱなから突っ込んでいく。会長の表情からして合格はかなり危なそうだ。さっきと同じことをしていたのでは本当にダメだ。
ここが踏ん張りどころ。試験に落ちたくない。
後から動画を見てわかったのだが、しっかり当たっていると思っていたジャブが後半ほとんどクリーンヒットしてなかった。これは確かに合格が危うい。
赤が私だ。
2ラウンド目はどうすればいい?
もっと手数を多く?
うーん、わからん。
カーン!!
少し混乱したままで2ラウンド目が始まった。
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