⑪かっこいい父親になりたくて、銀行員を辞めてプロボクサーを目指す ~ボディーは打たせてやれ~

初回記事「①息子に会いたい」

前回記事「⑩タイ人ボクサー、タノンサック」

目次

亀田3兄弟がテレビによく出てた時、自分はまだボクシングの道に興味が無かった。

その3兄弟のトレーニングで強烈に記憶に残る練習があった。

何かにもたれている長男亀田興毅の腹を、体の大きい父親がひたすら殴り続けるというトレーニング。

「腹は殴らせてもいい!!

でも頭だけは絶対殴らせるな!!!

腹殴られてもガードは下げたらあかん!!!」

そう言いながらボッコボコ殴ってた。

へぇ、あんなに殴られても平気な顔できるくらい腹って鍛えられるんや。

そんな記憶が頭の片隅にあった。

その後ボクシングの道に進むのだが、亀田興毅の印象が常に頭の片隅にあったためか、腹筋や背筋は一生懸命鍛えていた。

「腹は殴らせる。自分もガードが下がらないようにボディを鍛える」

そんなある日、軽い実践練習をしていた時の話。

ボクシングにはマスボクシングという練習がある。

これは本気で殴り合うスパーリングに対し、軽くパンチを当てる、もしくは寸止めをする実践練習だ。

毎日激しく殴り合うスパーリングをすると脳へのダメージが蓄積し、障害が残るリスクが高くなる。なので実践に近く、且つダメージの残らない練習として頻繁に行う。

そのマスボクシングをしているときに腹を殴られた。

ジャブを出し、体が前のめりになってお腹が伸びきったところに少し強いパンチをお腹に入れられた。

みぞおちに拳が食い込んできたのを覚えている。

その瞬間息ができなくなり即座に倒れ込んだ。

しばらく息ができない状態で地面に這いつくばった。

ボディきっつぅ!!

息子の悲しむ顔が頭に浮かんだ。

こんなもの試合で受けたら負け決定だ。まだ腹筋が足りないのか。

この一件があってから、更に胴回りの筋肉を思いっきり鍛えることにした。

鍛えに鍛え、ついにジムで1位、2位を争うほどのくっきり割れた筋肉が出来上がった。

まだプロじゃないのに体つきだけは一人前。

お腹を押してもそう簡単にはへっこまない。

よし、これでもう大丈夫!!

ボディに自信がついた。

倒せるもんなら倒してみろ!!!!

そしてまた別日にマスボクシング。

ジャブを出したらボディを合わされた。

倒れ込む。

息ができない。

地面に這いつくばる。

ボディきっつぅ!!!

息子の悲しむ顔が頭に浮かんだ。

なんでやねん!!

こんなに腹筋鍛えているのに同じことの繰り返し。

一体どうすればいいのか。

なんで亀田興毅はあんなに殴られても大丈夫なんだ。

、、、、、、、、。

そうか殴られなあかんのか!!

その日以来、一日の練習の締めとして誰かに腹を殴ってもらうことにした。

左と右のわき腹を10回ずつとみぞおちを10回ずつ。

計30回殴ってもらう。

殴られると確かにきつい。軽く殴られているだけなのにすぐに倒れ込んでしまう。

どうやら腹筋運動をする筋肉とパンチに耐える筋肉は違うみたいだ。

でも毎日やっているとだんだん強くなっていき、ついには本気で殴ってもらえるまでになった。

ここまでくるとボディはそう簡単に利かなくなる。

自然とガードを下げることも無くなった。

なんならボディを打たせて相手のガードが空いたところにパンチを入れるような戦術も使いだした。

打ちたかったら打ってこい!!!

ボディは効かん!!!

この倒れた日を境にボディで倒れることは試合でも練習でも無くなった。

やればできる!!!!

最初は自分もボディはへなちょこだったが、鍛えれば案外どうにかなるものだ。

体はやった分だけ強くなる。

しかし技術習得は難しい。

技術はまだまだこれから。

ボクシング用品紹介記事

次回記事「⑫スパーリングでボッコボコにやられる」

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