なぜストレッチで効果を感じれないのか

皆さんはストレッチで効果を感じたことはあるだろうか。私は無かった。

例えばパソコンの使いすぎで肩が凝ることがある。しかしストレッチをしたところで少しマシにはなるのだが、改善とまではならない。何となくその場しのぎ感があった。ボクシングをしていた頃、もちろんストレッチはしていたが、持ってる知識は小・中学校で教えてもらったレベル。おそらく皆さんも同じくらいだろう。今日は少しだけそのレベルを引き上げてみたい。

私はボクシング引退後、ストレッチ専門の会社に入社した。今回は会社の紹介ではないので、どこに入社したのかは伏せておく。入社後、研修期間が1カ月ほどあり、その期間は研修生どうしがパートナーを組み実技をの練習をするのだが、なんとたった3日ほどで効果が出始めた。まずはどんなどんな効果が出てきたのか紹介しよう。

ストレッチの効果を体感した瞬間

私は元プロボクサーだ。ボクシングを辞めると当然トレーニングをしなくなるので少しづつ筋肉が無くなっていく。脂肪も増え、現役の時より体重が4キロも増えた。このまま肥満になるのは嫌なので週2日程度ランニングをする。ランニングの終りに現役の頃おこなっていた600mのダッシュでタイムを計ってみる。

1分45秒。これは50mを8.7秒で走り続けているペース。小学校5年生くらいの全力疾走と同じスピード。

速い。確かに速い。でも問題は何度走っても1分45秒を切れないことだ。おそらくこれが私の限界だ。あとはどれだけ衰えを防げるか。そんな時にストレッチ専門の会社に入社した。

実技の研修1日目、体が少し軽くなった。

実技の研修は、研修生たちがお互いにストレッチを掛け合う。

2日目、体がさらに軽くなり、試しに再度600mのタイムを計る。

1分41秒。自己記録を3秒更新

あれだけ更新できなかった記録をあっさり更新してしまった。

研修4日目、またタイムを計る。

1分39秒

さらに更新。50mを8.2秒のペース、小学校6年生でちょっと足が速い子の全力疾走までレベルアップ。

驚いた。確かに走りやすかった。だがストレッチを行なっただけでこんなに体が動くものなのか。

いったい体の中でどんな変化が起こったのか。

簡単にいうと凝っていた筋肉が緩み、正常な位置に関節が戻りつつある。恐らくそんなとこだろう。

たった一つの筋肉が全身に悪影響する

ご存じのとおり人が運動をする時、筋肉が骨を引っ張るからこそ関節が動く。筋肉が凝っていると、力を抜いたつもりなのに筋肉が骨を引っ張り続けている、つまり関節が正常な位置に戻らない状態になっている。見た目でわかりずらいが、ほんの少し肩が丸まる、ほんの少し腰が反る、このように筋肉が凝ると関節が正常な位置や向きを失う。正常な位置ではないのだから動きも正常ではない。正常な動きに近づけようと他の筋肉が動きをカバーする。このように筋肉が一つ狂ってしまうと連動して他の部分まで動きが狂ってしまう。

例えば骨盤が前後に傾くと、背骨のS字の形が変わる、S字が変わると頭の位置が変わる、頭の位置が変わると前、もしくは後ろに倒れやすくなる、このバランスを保つために、体を前傾、または後傾させるといった具合だ。体全体がカバーし合っているのは正常ではない。いわば緊急回避、応急処置的なものだ。動きはするが正常ではない。それを24時間続けてしまうと、想像どおり負担の大きいところにガタが来る。

こんな状態で走り続けていたのだからタイムが伸びるはずもない。むしろどこかを痛めていたかもしれない。

よく整体のクリニックに行くと、「この腰の痛みは肩から来てますね」とか「すねの痛みは内臓が弱ってるからです」なんて言われる。全く関係ないでしょって思ったりするが、体は全て連動している。

例えるなら筋肉はまるでテントだ。テントは片方を引っ張ると全てが引っ張られる。そして引っ張られた筋肉の先の方でもまたテントと同じ現象が起こっている。このようにして体中に影響していく。更に他の部分に影響する原因は筋肉の引っ張り合いだけではない。それは血流だ。筋肉が凝ると、血管を圧迫する、圧迫するとその先にある血管まで血液が運ばれない。運ばれないとその先にある筋肉では酸素不足、水分不足が起こる。流しそうめんを途中で止めると、下流の人たちにそうめんは届かないのと同じだ。もちろん疲労物質も流れない。筋肉はそのまま放置されたくないので痛みという形で危険信号を発する。

これの最も有名な症状が肩こりからくる頭痛だ。肩での血管が圧迫され脳まで血液が運ばれない。頭痛薬を飲んでも血流不足は改善されないので根本的な解決にはならない。これが筋肉が凝ることによって引き起こされる弊害だ。

この肩こりを例にとってもう少し考えを深めてみよう。ではその肩こりはなぜ起こったのか、姿勢が悪いからか。ではなぜ姿勢が悪いのか、骨盤の向きなのか。ではなぜ骨盤の向きが悪いのか、歩き方の問題か。ではなぜ歩き方が悪いのか、足首の可動域が小さいからか。このようにもしかすると頭痛の原因は足首にあるかもしれない。足首と頭痛は全く関係無いように思えるが、結局体は連動している。なので痛い箇所とその周りだけを治療しても改善されないことが多いのだ。

凝った筋肉をほぐすには

方法はいくつかあるが、代表的なものがマッサージでありストレッチだ。

どちらがいいというわけではない。求めるものが違うのだ。

凝っている筋肉と言うのは簡単に言うと、普段の状態より「硬く」「収縮」している状態だ。筋肉はこの異常な状態を正常だと勘違いしている。マッサージやストレッチはこの勘違いを解いてあげることができる。

「あなたは本来もっと柔らかいですよ」と教えてあげるのがマッサージ。

「あなたはもっと伸びるんだよ」と教えてあげるのがストレッチ。

この二つが結果的にどんな違いを生むのかはまだ勉強中だ。今回はストレッチの話だけをさせてもらう。

同じ生活習慣を続けていた場合、ストレッチの効果は7~10日ほどで消えると言われている。しかし効果が消えそうなときにまたストレッチをし、その後また消えそうなときにストレッチ、という具合に習慣化していくと少しづつ筋肉が改善されていく。できれば1週間に1回「効果的」なストレッチが欲しい。

ただこの「効果的」なストレッチが1人ではできない。

効果的なストレッチとは

例えば一人で行うストレッチ。

足を開いて体を前に倒す。痛いのを我慢してもっと深く前に、、、と言うのは簡単に想像できるだろう。痛いのを我慢して前に倒すのは問題ない。問題はリラックスできていないことだ。では体の力を抜いてリラックスさせて。。。と簡単に解決できるものではない。

効果的なストレッチにはいくつかの手順があるが、何よりも大切なのが「完全なるリラックス状態」。

温泉に浸かりながら仰向けになって全身が脱力している状態を経験したことがあるだろう、あれよりも更に脱力した状態が欲しい。完全に脱力すると筋肉が緩みやすい。特に関節回りの筋肉。緩んでいるからこそ正常な位置に関節を移動することができる。

一人でストレッチをするということはどこかしらに力が入っている。そうでないとそもそも座っていることすらできない。バランスを保つために体中の筋肉が少しずつ収縮を起こしているから座れるのだ。

しかしパートナーストレッチは寝転がっているだけでよく、完全に相手に体をゆだねられる。

これだけでも力を抜きやすくなるのだが、ストレッチをかける前に関節を振動させ更にリラックスさせる。

筋肉の収縮が起こっていない状態で初めて関節を元の位置に持っていきやすくなる。もちろんすぐには戻らない。硬くなった筋肉を少しづつ緩めながら正常な位置に戻していく。

なのでストレッチにはリラックスが大前提なのだ。これをしようとすると一人では無理だ。リラックスさせる技術をもった人にしてもらわないといけない。その方法は学校の授業では教えてくれないので、きっと簡単にできるものではない。

一人でするストレッチでなかなか効果を感じれない理由が少しおわかりいただけただろうか。もしマッサージに行ってもなかなか腰痛や肩こりが治らないという人、もしくは人生最後の試合を控えてるという人はパートナーストレッチを受けてみると効果が出るかもしれない。アプローチ方法がマッサージなどと違うので、もしかしたら治るかもしれない。

でも、結構値段高いよ。

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