㊹かっこいい父親になりたくて、銀行員を辞めてプロボクサーを目指す ~減量末期~

目次

初回記事①息子に会いたい

前回記事㊸人生最後のスパーリング

「かっこいいお父さんになりたい」

その一心でここまで頑張ってきた。

子供と会えるかすらわからないのに全てを投げ出してボクシングの世界にやって来た。

それもあと少しで終わる。

プロボクサーのライセンスに合格したらそのまま辞めてしまう人がよくいる。

自分もその道をメインシナリオに考えていた。

ここから先はプロテストに合格するだけでは体験できない領域。

 

目標体重は57㎏

試合一週間前の体重は59.5㎏

トレーナーから「あと何キロ落とさなあかんの??」と聞かれ、2.5㎏と応えると「順調やな」と評価された。

一週間で2.5㎏ってそんなに簡単なのか?

練習で汗をいっぱいかいて残り2.5㎏だ。ここから体重は落ちるのか?この体のどこに落ちる部分があるんだ?

スパーリングが終わってからは体重を落とすことだけに集中する。食べ物の量を減らすのと同時に塩も減らす。

塩を摂ってしまうと浸透圧の関係で体が水を多く蓄えようとする。

もう落とせる脂肪は無い。残りは水分だけだ。

ここからは塩控えめの少量のご飯を食べたら練習に向かうの繰り返し。

計量日の3日前になると58キロ台になり、前日の夜で57.6㎏になっていた。塩を抜くだけで体重がどんどん落ちていく。

ここまでくるとようやく安心できる。

寝ている間に200gは落ちる。そしてトイレに行ったら100g

朝起きて計量会場に向かう支度をするだけで57㎏代前半まで落ちるはずだ。

起床後、思ったほど落ちていなかったら熱いお風呂に入って更に汗をかけばいい。そしたらクリアするはず。

でも家の体重計と会場で用意されている体重計はわずかだが数字に誤差がある。少なくとも100gは余分に落としておきたい

自分の体の変化を改めて見てみる。

普段から痩せているのに服が更に大きく感じる。

ちなみに写真のパンツはSサイズ。きっとこの時はSSサイズでも大きく感じたと思う。

びっくりするほど細くなった。変化したのは体の大きさだけではない。

筋肉がふにゃふにゃになっているのだ。

減量を進める中で気づいたのだが、あれだけ鍛え上げてカッチカチにしたはずの筋肉が脂肪を触っているかのようにフニャフニャになっている。体から水を抜くほど筋肉が柔らかくなっていく。

筋肉がたくさん水分を含んでいたことがよくわかる。

誇れる筋肉は一瞬にして消え去った。

筋肉が溶けるってこういうことか。こんなので戦えるのか???それとこの気怠さ。体が本当に重い。全てにおいてやる気が出ない。

計量日は試合前日。

計量が終わったその瞬間からどれだけご飯を食べても大丈夫。どれだけ太っても大丈夫。たった一晩で5㎏体重を戻すことなんてよくあることだ。

でもご飯を食べるだけで本当にこの体は回復するのか?

起きているだけでしんどい。しんどさのあまり試合が近づいていることの緊張なんて全くない。ただただしんどい。

こんなに体が脱水症状と栄養失調を訴えているのにあまり喉は乾いておらず、空腹も苦ではない。尿も出る。

やはり塩がないと体は水を蓄えれないようだ。

塩分不足は体のいろんなシグナルを感じれなくなることをこの減量を通じて体験した。

周りからはもっと階級を落とした方がいいとも言われてたが、フェザー級(57㎏)が自分の限界だと改めて感じた。

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レッスン内容

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