健康について ダイエット編その4 糖質と人間の歴史

ダイエットメニューを考える上でとても大切な知識は人間の歴史です。話始めから少し堅苦しい話題になりますが、とても大切な話なのでしっかりと理解してください。

・人間はいつ誕生した?

人間がこの世に誕生してから200数十万年経ったといわれています。そのころはまだ火を使うことができず料理ができませんでした。あらゆるものを生で食べていたため消化が遅く、とてもゆっくり食事をしていました。このころの人間は一日の大半を食事に充てていたといわれています。消化に時間がかかるので腸がとても長くなり、それを収める胴も長くなりました。体形は今のオラウータンのようでした。

・火を使うようになり、人間の体はどう変化したか

その後火を使うようになり消化に充てる時間が短くなりました。加熱は消化を助けます。消化が容易になりゆっくり食事をする必要がなくなりました。このことから長い腸は必要なくなり、現代の人間の体格に近づいていったといわれています。

栄養学の本を読んでいると、高温で熱すると栄養素が破壊されるいう文言を目にすることがあります。確かにそうなのですが、その言葉だけを切り取ってしまうと焼く行為は食材を台無しにしているように思えます。でも加熱は消化を助けているので必要な料理方法なのです。

料理を発明した人間は、20万年前ついに今の人間とほぼ同じ体になります。

もし20万年前の人間と、現代の人間が2人とも素っ裸で目の前に立っていると、どっちが現代の人間なのか見分けがつかないほどそっくりだといわれています。

こんなにも遠い昔の話をしていったい何を伝えたいのかと言うと、人間の進化のスピードはとても遅いことを知ってほしいのです。千年や一万年くらいの時間軸では進化なんてほとんど起こっていないのです。

・食生活はいつどのように変化したのか

人間の食生活が大きく変わったのは2万年ほど前から。それ以前の人間はその辺にある植物や動物を捕って食べていました。このような生活を送っている人たちを狩猟民族と言います。それに対し、2万年程前から穀物などを育てて収穫する生活に変わっていきました。農耕が始まったのです。このような人たちを農耕民族と言います。

農耕が始まったあたりから食材の変化に進化が追い付かず、体とのミスマッチが起こり始めます。

現代の人間の体は依然として2万年以上前、つまり狩猟民族の食生活に対応しています。人間の体は農耕が始まることを想定していません。特にここ100年の食生活の変化は激しすぎて、理想の食事からかけ離れてしまってます。

人間にとってバランスの取れた食事とは、農耕が始まる2万年以上前の狩猟民族の食事なのです。

動物を狩り、その辺で見つけた木の実を採取し、魚を捕まえ、野菜を食べる。一説によると、現代より数万年前の方が栄養のバランスが良かったと言われています。

では農耕が始まる前と後とでは、いったいどのように食生活が変わったのでしょうか。

前置きが長くなりましたが、ここから糖の話に移っていきます。

農耕がはじまってからは主に米や麦が育てられました。つまり糖質です。

農耕が始まってから人間は糖を多く取るようになってしまいました。人間は米や麦で糖質をとらないとだめだと言われますが、では農耕が始まる以前の人間は常にエネルギー不足だったのでしょうか。もしそうだとしたら世界各地で人間が生き残っているはずがありません。きっとエネルギー不足が常態化している人類は絶滅していたでしょう。つまり現代みたいに糖質を取らなくてもしっかり動けていたのです。

上記の歴史は血糖値を調節するホルモンからも垣間見えます。

・血糖値を上げるホルモン、下げるホルモン

体内には血糖値を上げるホルモンと血糖値を下げるホルモンがあります。血糖値を上げるホルモンは血中の糖が少なくなると脂肪を分解し、糖を血中に送り込みます。これにより血糖値を上げます。逆に血糖値を下げるホルモンは血中の糖の濃度が多くなると血中から糖を取り除き脂肪として蓄える働きをします。

以下に血糖値を上げるホルモン、下げるホルモンを羅列します。

・血糖値を上げるホルモン

①グルカゴン

②アドレナリン

③成長ホルモン

④チロキシン

⑤糖質コルチコイド

・血糖値を下げるホルモン

①インスリン

上記の通り血糖値を上げるホルモンは5つもあるのに対し、下げるホルモンはインスリンのみです。自然界で過剰に糖を摂ることがなかったので血糖値を下げるホルモンはあまり必要なく、逆に血糖値を上げようとするホルモンが多くなったのでしょう。

・糖を摂ると脳内で何が起こるか

糖を摂取すると脳内麻薬ドーパミンが分泌されます。ドーパミンは快楽を司る脳の各部位を刺激します。ドーパミンは何か大きなことを達成したとき、買い物をしたとき飲酒やスイーツを食べたときなどに放出され、やる気や幸福感を感じさせます。しかし長続きせずすぐにまた次の快感を求めます。その最たるものがドラッグです。

このことからお菓子などのジャンクフードをマイルドドラッグと表現する医師がいます。糖には人間を中毒にする要素があるという考え方です。狩猟民族の時代では脳が糖を求めるくらいがちょうどよかったのでしょう。しかし今は町中に糖を含んだ食品が溢れています。このような状況を脳は想定していません。人の脳は未だに糖が少ない2万年以上前の世界にいると思っています。脳が求めるままの食事をしてしまうと、体に異常をきたすのは当然の結果と言えます。

現代の加工食品は満腹感を感じさせるタンパク質をできるだけ含まないようにし、中毒を起こさせる糖質をたくさん使っています。さらにその糖質の中でも体に悪いミネラルの少ない糖を使っています。

これらのことを知ることで手にする食品が少し変わるのではないでしょうか。

人間の進化に興味がある方には以下の書籍がおすすめです。



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